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未来のある子どもたちと、正面から向かい合います。

以前は確かにあった会話やふれあいが、少なくなっていると感じる方も多いのではないでしょうか。ことに子育てについて、「誰にも相談できない」という状況は、たくさんの方から伺います。子どもの引きこもりやうつ症状などが増えているのは事実です。

氣太浪では、大人はもちろん、子どもの心の問題や子育てに関するカウンセリングも行っております。未来のある子どもたちと、正面から向かい合います。

「子どもは少し飢えさせ、震えさせて育てよ」と説いたのは江戸時代の学者・貝原益軒です。実際、子どもにあえて少しのストレス(刺激)を与えることで正常な身体機能を養うことができます。たとえば子どもを冷暖房完備の空間に置きすぎると、自然に養われるはずの体温調整機能が身につかない恐れがあります。そのため適度な外出で四季を感じさせることが大切です。

子どもの自律神経

産まれたばかりの赤ん坊は顆粒球(白血球の一種)が多い(交感神経優位)状態が3日間ほど続き、その後15~20歳くらいまでリンパ球(免疫の一種)が多い(副交感神経優位)状態を維持します。通常はこれで身体のバランスが保たれ、正常に生体活動も行われますが、運動不足などによって副交感神経優位が過剰になると、アレルギーなどの過敏反応を引き起こす恐れがあります。そのため適度に交感神経を刺激することが大切です。屋内に閉じこもらせたり過度な清潔を強いるよりも、外で自由に遊ばせるだけで、子どもは自然と身体機能を養っていくことができます。

子どもの腸内細菌を養う

人の体内には常在細菌叢というものがあり、体外から新しい細菌が入ってくることで健全な機能が保たれています。そして免疫は常在細菌叢の適度な刺激によって活性化されます。実際、無菌状態の胎内から出てくる赤ん坊は体内の常在細菌叢が未完成のため、母乳などから徐々に腸内細菌を取り入れることで常在細菌叢を養っていくのです。もちろん不潔にするべきではありませんが、親が過敏になってしまうと本来育つべき子どもの腸内細菌は養われなくなってしまい、免疫不全や自律神経失調の原因となる場合もなります。コアラの母親は産まれたばかりの子どもに自身の糞をなめさせる習性があります。これはユーカリの葉(コアラの主食)が持つ強い毒素を中和する腸内細菌を子どもに養わせる行為だと考えられています。パンダの子どもにも母親の糞をなめる習性があり、これも主食の笹の葉を消化・吸収するための腸内細菌を育てる行為だとされています。人間の赤ん坊も色々なものを口に近づけ、舐めようとします。これは単純な好奇心だけでなく、本能的に腸内細菌を増やそうとしていると考えられます。

子どもの身体機能を育てる

最近の子ども(特に日本)に多いのが、成長時期のハードなトレーニングを原因とする変形性の骨の病気です。本来、個々人によって骨格・筋肉や体質・性格などが違うため、親やトレーナーはそれぞれの体質や適性、成長段階を考えたうえで指導する必要があります。食べ物の好き嫌いについても、自分の身体(体質)に合わないものを本能的に避けている場合があります。

牛乳を飲んでも背は伸びない

乳製品に含まれている炭水化物(乳糖)はラクターゼという消化酵素によって腸内で分解されます。しかし日本人の腸内にはラクターゼがほとんどなく、乳製品からは十分なカルシウムを吸収することはできないため、牛乳を飲んでも「骨が強くなる」「背が伸びる」ことはないとされています。

骨を成長させるためには外で思いっきり遊ばせるのが最適です。太陽光を浴びて身体の細胞を活性化させるだけでなく、動くことで血液循環が良くなるため、結果的に骨が骨内にある血管から十分な栄養を吸収することができます。

最近、子どもによる心を痛めるような事件がニュースなどで頻繁に報道されています。なぜこのようなことが起こるのかを考えるためには、「事件を起こすまでにどのような生活環境にあったのか」をひも解く必要があると思います。理由の一つとして現代の子どもたちの忙しさが考えられます。塾や習い事に忙しく、ゲームなどの娯楽が増えているため、家にいても家族と関わる時間が少なくなっているのかもしれません。また何をするにしてもスイッチ一つでできてしまう豊かな現代では、我慢という機能が自然的には発達しにくくなっていると感じられます。その結果、些細なことで攻撃的になってしまう子どもたちも増えているのではないでしょうか。また大人の社会でも現実の人との触れ合いが少なくなるなか、子どもの成長にとって大切な現実を体験する機会は以前より確実に減ってきていると思います。これでは相手の痛みや悲しみを感じる感覚が鈍くなってしまうのも当然です。さらにお金を出せば何でも手に入る現代では「困る」「失敗する」という状況に直面する機会も乏しくなり、ちょっとしたことで落ち込んだり、イライラしたり、心が不安定になるケースが非常に増えていると考えられます。子育てには何が良くて何が悪いということはありませんが、「高価なものを与えれば良い」ということももちろんありません。人間にとって価値があるのは物ではなく心です。

子育ては単純に子どもと一緒にいる時間が多ければいいというものではありません。大切なことは子どもとの触れ合い(スキンシップ)です。触れ合いは子どもにとっての心の栄養になり、それは大人にも同じことが言えます。

身体の触れ合い

子どもがお母さんやお父さんに「抱っこしてほしい」「頭を撫でてほしい」と思うのは本能的なものです。子どもは直接触ってあげることで安心します。愛情を込めた触れ合いは脳にオキシトシンというホルモンを分泌し、心を安定させます。こういった作用からオキシトシンは愛情ホルモンとも呼ばれています。

心の触れ合い

「子どもが言うことを聞かない」という理由から携帯電話で動画を見せたり、ゲームなどを使っておとなしくさせる光景をよく見かけますが、心当たりはないでしょうか。なぜ子どもが言うことを聞かないのかを考え、子ども自身の言うことにしっかりと耳を傾け、子どもの考えていることや悩んでいることを理解する姿勢が大切です。わかり合うことが親子の信頼を深め、子どもの成長段階では欠かせない要素になってきます。

一緒に楽しむ

子どもと一緒に絵本を読んだりすることで共感することも大切です。子どもの想像力には大人が学ぶこともあるでしょう。必然的に子どもと触れ合う時間も増えていきます。もちろん絵本は一つの手段(ツール)です。買い与えることが目的ではなく、子どもとコミュニケーションをとることに意味があります。「面倒くさい」と思われる方もいるかもしれませんが、ペットでも植物でも愛情をかけることで懐いてくれたり、綺麗な花を咲かせることで心を癒してくれます。親も人間なので失敗や間違いはありますが、子どもを育てるというよりも一緒に育っていくと考えてみてはどうでしょうか。

「子どもを甘やかすと自立できなくなる」と思い込んでいる方もいます。しかししっかりとコミュニケーションをとり、楽しい思いをさせ、のびのびと育てていれば、子どもはいずれ自身というものを知り、社会のなかで生き方(方向性)を確認し、巣立っていくものです。そのときに親が子を放せないことで、子どもの自立は阻害されてしまいます。親自身が自立できていなければ、子どもを甘やかすことも十分にできません。子どもが自立できない理由は、多くの場合子離れできない親に問題があります。

子どもの壁となる覚悟

子どもは思春期になると、非行などの衝動的な行動をとることがあります。こういった態度は成長段階において「急激に成長するパワーを抑えきれない」「力が湧き上がってくるのを感じるのに扱い方がわからない」という一種の不安感からくるものかもしれません。あるいは湧き上がってくるエネルギーを本能的に何かにぶつけ、自らの力(存在)を確かめようとしているのだと考えられます。しかし現実には多くの壁が存在します。いくつもの壁にさえぎられることで自分の力の限界を感じたり、腹を立てたり、悔しい思いをしたりします。このような体験を通してこそ子どもたちは自己を知り、現実というものを認識していきます。子どもが最初にぶつかっていく壁として親は恰好の選択肢です。しかしこのときに親が立ちはだかる壁の役目を放棄し、「気持ちはよくわかる」などという態度をとってしまうとどうなるでしょうか。ぶつかる壁を失った子どもたちは「どこまで突っ走ればいいのか」「どこで止まればいいのか」がわからなくなり、不安感とともにぶつかっていく壁を求めて暴走するより仕方なくなります。結果的に社会的規範を破る場合もあります。ここで重要になってくるのが、最初から「法律を犯そう」と思っている子どもなどほとんどいないということです。「法律を破った」という結果だけを取り上げても意味はありません。子どもが問題を起こしたときも、まずは子どもの本音を探り、原因をひも解いていかなければなりません。

大人の矛盾

(無意識的に)「生きた人間にぶつかり、成長したい」というのが子どもの本音だとすれば、大人が胸を貸すのは当然の義務です。たとえば力士のぶつかり稽古でも、後輩が胸を借りて成長しようとしているのに先輩が胸を貸してくれなければ、成長の機会は失われてしまいます。

そして胸を貸すためには、それだけの強い心を持っていなければなりません。子どもたちに対する壁となるためには、まず親(大人)が自分自身の人生を心して歩んでいなくてはなりません。

「気持ちはわかる」などという似非の理解は、親自身が自分の生き方に自信がないことや子どもからの衝撃からうまく免れようとする魂胆から生じると考えられます。子どもを理解し、育てるためには、まず親自身が自分の生き方に確信を持つことが大切となるはずです。

毎年、当院には登校拒否の子どもたちがご両親に無理やり連れて来られます。無理やりですから当然子どもたちは「そんなところへは行きたくない」と思っています。このような場合、子どもたちはシカト(無視)の態度をとることが多いです。しかしこれは「お前に何がわかる」「話などするものか」という意思の表れです。このように自分の意思を態度に表す子どもは、じつは非常にわかりやすい傾向にあります。実際これまでのケースでも、最初に反抗姿勢を示す子どもは最終的に心のSOSをきちんと発信してくれました。もちろん意思を疎通し、尊重し合えるようになるまで時間はかかりますが、こういった子どもは自身の考えを持っているため、ひとまず大丈夫です。

学校の必要性

子どもたちの多くも「学校には行って当たり前」と思っているはずですが、「そういった子の何人が学校に行かなければならない本当の理由をわかっているのか」と思います。まずは子どもにしても大人にしても「学校には行って当たり前」という勝手な思い込みを取り除き、学校へ行けない理由よりも学校の必要性を納得することが大切です。多くの場合、「なぜ学校に行かなければならないか」をわからせる前段階で子どもにきちんと説明できていないこと(説明不足)にも問題があります。まずは大人(自分)自身が抱いている矛盾を理解し、一緒に話し合うことで解消することが大切です。たとえば自分の子どもを他人の子どもと比べ、「なぜうちの子にはできないのか」と悩んでいる親がいます。しかし子どもたちからお父さんお母さんが人の親と比べられたらどのように感じるでしょうか。単純なことですが、子どもの登校拒否・引きこもりに悩む親はこういった当たり前のことを見過ごしている場合が非常に多いのです。

当院には、毎年平均して20組以上の親子が登校拒否などの悩みを持って来られます。ここで2007年に来院された中学1年生と小学5年生の姉妹の話をご紹介します。
”強いる”ことのデメリット
子育ても心
心は触れ合い(スキンシップ)で育む
子どもの自立
登校拒否・ひきこもりの子どもたち
大人の矛盾
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