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自律神経の仕組み

自律神経は中枢である脳を出発点として全身に細かく枝分かれしており、全身の各臓器や各器官、細胞などは自律神経のおかげで脳からの指令を受け取ることができます。また免疫機能にも関わる重要な役割を担っています。

自律神経は交感神経と副交感神経という二つの神経から成り立っています。正反対の働きをする二つの神経がバランスを保つことで、健康状態を維持しているのです。

自律神経は心(感情)の動きによってシーソーのように交感神経と副交感神経のどちらかに傾き、バランスを取っています。しかし不規則な生活習慣やストレスによって心(感情)が乱されると、自律神経のバランスも自然と崩れてしまいます。また気圧、気温や湿度など外部環境の影響も大きく受けます。

交感神経は身体を活動状態にします。たとえば運動をしたりすると、身体的なストレスが交感神経を刺激します。激しい寒暖の差などの外部環境も交感神経を刺激することがあり、興奮状態や精神的ストレスも交感神経優位な状態にさせます。

副交感神経は身体を休息させます。副交感神経は食物の消化・吸収にも関わるため、十分な食事をとっている場合は副交感神経優位になります。活動が少なく、リラックスしていたり、冷暖房完備の空間にいることで副交感神経優位になります。

​交感神経優位
​副交感神経優位
​症

→副交感神経優位になると顆粒球が減少する。臓器や粘膜が休息モードになり、リンパ球性の炎症が起きたりリンパ節が腫れたりする。

・鼓動が遅くなる ・胃酸分泌が増進する ・透明でさらさらした鼻汁が出る・のど(扁桃腺)が腫れる

→交感神経優位になると顆粒球(免疫機能を果たすリンパ球の一種)が増加する。心臓が活発に活動するなど、臓器や血管も交感神経の影響をうける。

・鼓動が早くなる ・胃酸分泌が低下する ・黄色く粘った鼻汁がでる ・咳が出る

■血管拡張→血圧・脈拍低下

■低気圧、気温と湿度が高いとき(気温が高く気圧の低い日が多い夏場)

■血管収縮→血圧・脈拍上昇

■高気圧、気温と湿度が低いとき(気温が低く気圧の高い日が多い冬場)

■アレルギー性疾患、組織障害、血管障害(脳卒中や心筋梗塞など)になりやすい。※これらの症状は交感神経・副交感神経のどちらかが優位になり過ぎることで発症しやすくなると考えられている。

​傾

・のんびり、運動不足、冷暖房完備の空間で過ごすことが多い、

過食気味、悩み事(精神的ストレス)が少ない

・怒りっぽい(イライラしやすい)、睡眠不足、活発に動き回っている、

集中して物事に取り組む、性欲が強い、悩み事が多い

自律神経
免疫
現代人の免疫
免疫の機能

たとえばインフルエンザなどの感染症は、身体が病原体(細菌やウイルスなど)に感染することで発病します。このとき感染症から治癒していく機能が免疫の働きの一つです。身体(脳)は感染症などの病気にかかると、体温を上げて自然と免疫の働きを高めようとします。

免疫と呼ばれるもの

一般的に「免疫」と認識されているのは、医学の世界では抗原抗体反応と呼ばれています。侵入してきた病原体を捕らえて撃退する獲得免疫を中核として起こる生体反応です。獲得免疫は記憶力を持っており、一度体内に侵入してきた病原体を覚え、再度侵入したときはその病原体にだけ特異的に攻撃を加えます。このようにして免疫は常に人体を病気から守っています。

自律神経の仕組み
免疫の機能
免疫と呼ばれるもの

人体は自律神経・ステロイドホルモン・サイトカインの大きく三段階で支配されており、これらはすべて脳によってコントロールされています。特に自律神経(交感神経・副交感神経)は、身体をあらゆる病原体から守り、治癒能力にも関わる免疫を司っています。自律神経を乱す最大の原因はストレスであり、ストレスが大きくなれば自律神経に偏りが生じ、免疫による心身の修復能力は低下してしまいます。これまでの免疫学研究の積み重ねにより、このような自律神経免疫学という統合免疫学が研究されるようになりました。

脳と脊髄を保護する髄液循環

髄液は硬膜(脳と脊髄を包み込む厚い膜)内に流れており、脳や脊髄への栄養補給や老廃物(不要物質)の除去機能を担っています。

髄液は頭蓋骨と仙骨(骨盤中心部にある骨)の膨張・収縮によって循環していますが、循環が停滞すると淀んでしまうため、脳や脊髄などの機能は低下してしまいます。つまり髄液循環の不全が自律神経の乱れ、免疫機能や自己治癒能力の低下を引き起こすと言えるのです。場合によってはうつ症状や自律神経失調症などにつながる恐れもあり、精神的ストレスが腰痛の原因となることもあります。

生きるために欠かせない脳の働き
脳と脊髄を保護する髄液循環

現代人は昔の人に比べて免疫機能が低下していると言われています。そこには社会的な問題が大きく影響していると考えられます。昔ではあり得なかった昼夜逆転の生活や長時間労働など、社会が革新し便利になっていく代償として健康が損なわれているのではないでしょうか。身体面からすると、生活のなかで身体を動かす機会は少なくなっているのにパソコンの普及とともにデスクワークなどは増える一方です。これでは当然脳と身体のバランスが崩れてしまいます。

また精神的なストレスを抱えている方も増えています。実際、当院にお越しになる方のなかにも、社会(集団)のなかで生き方(個性)に葛藤していたり、人間関係に対するストレスを抱えている方は増えています。

現代病

人間(の身体)が現代になって急に変わったというよりも、社会などの生活環境の目まぐるしい変化に人間の身体が対応できていないと考えるべきだと思います。

その結果、「アレルギー性疾患や自己免疫性疾患(関節リウマチなど)をはじめとした現代病が増えた」とも言われています(アレルギー反応は免疫機能の誤作動だと考えられています)。また腸内の環境も現代人と昔の人とでは大きく異なると言われており、特に「現代人の腸からは寄生虫がほとんど排除されてしまい、腸内の免疫バランスが崩れていることが多い」とも言われています。

便通異常

特に2000年頃を境にして、検査をしても身体に異常が見つからない便通異常が増えています。症状としては便秘と下痢を繰り返すもので「過敏性腸症候群」「機能性便秘」などと呼ばれています。便通に関わる腸の運動は自律神経によってコントロールされており、下痢は副交感神経優位の過剰が、便秘は交感神経優位の過剰が原因となることがあります。通常はこの二つの自律神経がバランスをとって便通を正常に保っていますが、「ストレスによって自律神経のバランスを崩されることが便通異常の原因」と語る医師もいます。

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