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病気や痛みをみるまえに、生活習慣や体質(性格・クセなど)を知ることが大切
症状の原因となるクセの改善

たとえば子どもに箸の持ち方を正しく教えていなかったとします。しかし正しくない持ち方に慣れている状況では、慌てて教え直しても、それまでについた持ち方はなかなか矯正することができません。なぜなら間違った持ち方(フォーム)が身体と脳に染みついてしまっているからです。もし子どもに正しい箸の持ち方を身につけさせるためには、

⓵「間違った持ち方をしている」と自覚してもらい

⓶納得したうえで(直すのは自分であり、他人に頼っても改善はできない)

⓷実践的にフォームの改善に取り組むこと

 

が必要です。

療術にも同じことが言えます。生活習慣や姿勢など、個々人のクセを本人が自覚し、納得したうえで改善に取り組むことが根本的な療術となります。また身体だけでなく、精神面を含めて症状の根本を探ることが肝要です。たとえば会話中の仕草や口調、目線なども心身や脳の状態を把握する大切な手掛かりとなります。

症状のひも解き

じつは東洋・西洋問わず、現代の医学や療術行為において、こういったひも解きをする考え方はほとんどされていません。単純に痛みのある個所、またはその周辺の筋肉や関節のみを見ることが多く、心身全体を総合的に捉えたうえでのひもを解いた説明やカウンセリングがなされていないのです。

療術を受ける方が症状を理解し、納得できることが重要であり、当院ではそのためのコミュニケーションをカウンセリングと表現しています。そのなかで個々人の持つ習慣やクセを知り、病気や症状の原因となるものを見つけ出すことが療術の第一歩であると考えています。

症状の原因として考えられること

肩こりを例として、症状の原因として考えられることを挙げていきます。

・目の疲れ

・物事の考え方(性格・気質)や悩み事からくる身体の緊張

・腸をはじめとした内臓の冷え(下痢・便秘など)

・指先、腕・肩の使い過ぎ

・歩き方、または姿勢バランスの乱れ(首の骨、背骨、骨盤などの歪み)

・事故などによる後遺症

もちろん上記以外の原因も考えられます。重要なことは、症状の原因は人や場合によって一つひとつ異なり、対処法も異なるということです。

痛みが治っていくメカニズム
自己治癒能力

たとえば擦り傷をした場合、多くの方が自分で消毒などの手当てをするかと思います。しかし実際に治しているのは脳です。痛みを感じ、脳が治そうとする力(自然治癒能力)を発揮しているために、脳から身体の各器官へ指令が送られ、治癒していくのです。この仕組みを逆に捉えると、体内で引き起こされる病気のほとんどは自身の脳が作っているとさえ言えます。その過程を脳はすべて記憶しています。痛みを感じ、脳が治そうと働くという人体の仕組みを知ることで、多くの症状に対応することができます。

皆さんは痛みをどの部分で感じているでしょうか。多くの方が「痛みのある箇所」と答えると思います。しかし実際は、脳による神経伝達によって感じています。つまり痛みを感じているのは脳なのです。もし痛覚がなければ、脳が自己治癒能力を発揮するための指令を出しません。そのため痛みを始めとした感覚(感じること)は人に備わった重要な機能と言えます。

そして氣太浪が心を大切にする理由は、まさにここにあります。心とは感じることそのものであり、生きていくうえで欠かせない要素なのです。

自己治癒能力
薬との付き合い方
薬との付き合い方

薬によって症状(痛み)を抑える(止める)ということは、自己治癒能力も十分に機能しなくなってしまうということです。しかしすべてを自己の治癒能力に任せていいかと言えば、それは疑問です。

健康に関する書物などでは「病院に殺される」「薬を飲まなければ健康になる」「無農薬の野菜を摂りなさい」など、過激と感じる論調も増えています。しかし現代の生活において、病院や薬などを一切使わない生活など果たして可能でしょうか。

たとえば小児アトピーに苦しむ子どもに「ステロイドは毒だから絶対に使用をやめるべきだ」と断じてしまうのは、あまりに勝手な判断ではないでしょうか。

アトピーの痛みや苦しみがどれほど子どもにストレスを与えるのかを考えれば、一時的に最低限の処方を行うのも医師の役目だと考えられます。実際、ステロイドの有効性と危険性を熟知したうえで適した処方や治療を行っている医師もいます。

利用できるものは有効に利用しつつ、そのうえで自己治癒能力を高めるなどの根本的な治療に入っていくことが重要だと考えます。

薬の危険性
薬の危険性

薬は人体作用を目的として作られた物質なので、身体的ストレスとなって交感神経を刺激し、結果的に炎症や症状の悪化・長期化につながる可能性もあります。

ただし医師の判断を仰がずに薬を止めたり、服用の頻度を変えるなどの自己判断は避けるべきです。「自分がどのような薬を使っているのか」を知ったうえで、「炎症がひどいときだけ使う方法はないか」などの相談をし、指導をいただきましょう。大切なことは「症状は自分(の脳と身体)が治すもの」という意識を持ち、入浴による血流促進や自分の身体にフィットしたストレッチを行うなどのケアを怠らないことです。

心と身体の相関

古来「病は気から」という表現があるように、心と身体には密接な関係があると言われています。そして近年の科学・医療の目覚ましい発展とは裏腹に、科学的な測定方法などではつかみにくい(見えない)領域も拡がっています。特に心の作用の重要性については、現代の医学ではあまり認められていません。

しかし現実には心が痛むようなことが起きたとき、胃が痛くなったり食欲がなくなったりすることがあります。また恐ろしいことを想像しただけで鳥肌が立ったり、酸っぱいものを思い浮かべただけで唾液が出てくる経験は誰にでもあるはずです。

これらは単純な例ではありますが、精神性(心的な動き)が身体に影響を及ぼすことを明確に示しており、事実、精神的なストレスを根本原因とする症状も多くあります。

ストレスに対抗する安心の力

脳はストレスを感じることで身体の各器官を緊張させます。その結果血流が停滞し、身体が冷え、あらゆる症状を引き起こします。仮にストレスが胃腸に作用すれば、お腹が痛くなったり便秘・下痢になったりします。そしてこのストレスに対抗するのが、安心感(心の安定)です。たとえば転んでケガをした子どもが、お母さんの言葉や触れ合いによって泣き止んでしまうことがあります。医学的な根拠はないかもしれませんが、子どもがお母さんの言葉や態度から安心感を得て、痛みや恐ろしさを緩和させているのは事実です。安心こそが心身を楽にし、活性力をもたらします。

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